僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

劉繇奮戦記11「丹陽の戦い」

196年4月。
限りある人材の中で何とかやりくりしている劉繇陣営ではあるが、
内政値の上昇はやはり遅く、他の陣営との格差はなかなか縮まっていなかった。


劉繇「なあ軍師。」


華歆「はーい!なになになに?私に何かよう?もう何でも任せてよ!
   この私がいればドンと来いなんだからもうバッチリ!」


劉繇「(何キャラ?元気なオバサン?)ここのところ他国の情勢は激変してるじゃん?」


華歆「そうね!劉備も李カクも滅亡しちゃったし、袁紹公孫瓚公孫度も、
   陶謙まで滅ぼしちゃったものね!これにはレミもびっくりよ!」


劉繇「(平野レミか…。うぜぇ…。)でもさ、うちらは内政とかいまいち進んでないじゃん?」


華歆「そーなのよ!思った以上に人材が集まらないもんだからどうしようもないのよ!
   あんな材料じゃいくら私でもろくな料理が作れないわよ!もう!」


劉繇「あ、やっぱ予想以上に人材集まってないんだ…。特に内政向きの人材が
   全然集まっていないよね?」


華歆「そーそーそーそー!そーなの!全然っていうか一人も獲得できてないのよ!
   政治力が高いのが私と劉繇ちゃんだけだし!知力は周繒ちゃんと私と紀庶ぐらいでしょ?
   もうこれじゃあ炒飯も作れないわよ!」


劉繇「(平野レミっていうか見た目的にはただのオカマだな…。)このままじゃジリ貧だよね?」


華歆「そうね!ジリ貧!貧ジリ!貧しい尻よ!難産型?キャハハハハハ!」


劉繇「ハハハ…(しんどいなぁ…)。で、この頭打ちの状態を打破する策とかないかな?」


華歆「その言葉を待ってたのよ!はいここで今日のレミ姉さんのお手軽覇道レシピコーナー!!」


劉繇「(うっぜぇぇぇぇ。)お、何かいい策があるのか?」


華歆「はいまず用意していただくのは武将6人と兵3万2千。これだけあれば
   文官と新しい領地が作れちゃうのよ〜!」


劉繇「お、マジでか?詳しく聞かせてくれい!」


華歆「ウフフフ☆魅力的な料理でしょ?まずねまずね、王朗に降伏勧告をするのよ。
   そうすると王朗は絶対怒って断ってくるでしょ?友好関係崩れるでしょ?
   そうなったらもう遠慮なく戦争できるでしょ?そこに武将一人に兵2千で
   丹陽に陣を築かせに行くのよ!そしたら会稽の王朗はどうする?自分の領地の近くに
   陣なんか築かれたらいやでしょ?当然阻止しようとして兵を出してくるでしょ?
   そしたらもうこっちのものよ!王朗の陣営には虞翻と許貢っていうのがいるけど
   みんな戦争は得意じゃない連中ばっかりだから、陣を作らせに行った兵を引かせて
   太史慈とか紀庶を出せばきっと勝てるはずよ!そんでねそんでね!
   出てきた王朗の部隊を叩いて兵を減らした後に会稽に攻め込めば、
   都市は占領できるし政治力が高い虞翻と王朗を配下にできるかも!
   これ最高だと思わない?最高でしょ?でしょ?でしょ?」


劉繇「むう。会稽が我が領地となれば収入は増えて助かるし虞翻や王朗が獲得できれば
   それは心強い。しかし、王朗を相手にしているときに袁術孫策が攻めてきたら
   どうするんだ?」


華歆「だーいじょうぶよ!今は袁術孫策も他の勢力と戦争中だし。阜陵港に5千人ぐらい
   兵を駐屯させておけばそうそう攻め込んでは来ないわよ!」


劉繇「そうか…。じゃあ呉の厳白虎は大丈夫かな?」


華歆「あーあんなの問題ない問題ない!弟の厳輿と必死で兵を集めてるけど
   人材があの馬鹿兄弟だけだもの!何もしてこないって!」


劉繇「うーんなんかうまくいきそうな気がしてきたな。今まで穏便にやってきた王朗を攻めるのは
   多少気が引けるが、ここで遠慮していては乱世は生き抜いていけないからな。
   よし、いよいよこちらから動くときが来たようだ。王朗に降伏勧告を出そう。
   レミもとい軍師、使者には誰を起用すればいい?」


華歆「なるべく感じが悪くて誠実さの感じられない者が適任ね!」


劉繇「そうか笮融か。では笮融に会稽に向かうように伝えろ!」


そんなわけで、現状を打破するために、劉繇は会稽の王朗に狙いを定めた。


会稽。


笮融「…というわけでぇー、王朗さんにはこの乱世を生き抜くことは無理っぽいからー、
   よかったら俺が使ってやるから降れば?ってうちの殿が言ってましたけどどうっすか?」


王朗「ぬぬぬぬぬぬ…!たわけたことを言うなぁー!
   今までお互い弱小勢力同士仲良くやってきたではないか!
   それがどうして急に降伏しろってなるのだ!げせん!げせんぞー!」


笮融「まー、ぶっちゃけこの会稽が欲しいんだと思うよ。あと虞翻。そういえば虞翻はいないの?」


王朗「虞翻は章安港に赴任させておるわ!そんなことどうでもいいだろ!帰れ帰れー!」


笮融「(なんで優秀な文官を港に置くかなぁ…)んじゃ帰りますわ。バイビー。」


秣陵。


笮融「バッチリ断られてきました!もう向こうはかなり険悪な感じです!
   ここまでは作戦通りですな!」


劉繇「うむご苦労!作戦の趣旨を理解してくれて嬉しいぞ!
   では悪いがオマエはさっそく兵2千で丹陽に陣を築きに行ってくれ!」


笮融「えー!そんなことしたら王朗軍に潰されちゃいますよ!何言ってるんですか!」


劉繇「………おまえ作戦を全然理解してないだろ。」


笮融「は?」


5月上旬、王朗との友好関係が不和になったところで作戦は実行に移された。
笮融に遠回りをさせつつ丹陽に向かわせると、華歆の読みどおり陣の建造を阻止しようと
王朗が一人で1万7千の兵を率いて方円の陣で出てくる。


王朗「こらー!断りもなく陣を作るとは何事かー!皆の者、敵はわずか2千だ!
   蹴散らしてしまえー!」


兵士「あの、王朗様。2千のわりにはものすごい土煙を上げてますが…。
   それに陣を作りに来たにしてはすごい重装備に見えるんですけど…。」


王朗「え?まこと?それまこと?」


もちろん王朗軍に向かっていったのは太史慈、紀庶、凌操、陳横らが率いる
2万5千の実戦部隊。笮融隊はあっさり秣陵に戻し、逆に華歆が出向いて
王朗軍に撹乱を成功させる。


凌操「よっしゃー!突っ込めー!」


紀庶「敵は守りが堅いぞ!突き崩せー!」


太史慈「王朗はどこだー!敵大将に狙いを定めろ!」


陳横「あわわ!あわわわわわー!」(混乱出ず)


方円ということで多少てこずったものの、所詮文官肌の王朗。
ロボ2人とインチキ関西人凌操の奮闘に破れ、王朗はあえなく捕虜となった。


劉繇「王朗さんさぁ、戦争は向いてないんだから一人で攻めてきてもダメだよぉ。」


王朗「うるさい!我が陣営はオマエの所みたいに野蛮な戦争馬鹿はいないんだから
   しょうがないだろ!」


凌操「何やとこらぁ!もっぺん言うてみいや!」


王朗「ふん!そんな脅しなど怖くないわ!このエセ関西弁!」


凌操「このガキャ!ヒゲ毟ったろか!」


劉繇「まあ待て凌操。私も本心では争いは好まないのだよ。しかし時代がそれを許してくれない。
   王朗さん。お互い因果な時代に生まれたものよの。」


王朗「劉繇殿…。」


劉繇「いかに矛を交えた仲であろうと、私には王朗殿を処断することなどできない。
   さあ、会稽に戻られよ…。」


王朗「劉繇殿、私はそこもとを勘違いしていたようだ…。」


劉繇「ははは、この劉繇、乱世に生まれようとも心まで乱れてはいませぬぞ。
   (ここで王朗を処断しちゃったら会稽を攻め落とした後に登用できなくなっちゃうもんね)。」


張英「殿!急報です!またしても袁術軍が阜陵港に攻め込んできました!」


劉繇「マジかー!袁術とかは攻め込んでこないんじゃなかったのかよ!レミの野郎!
   すぐ迎撃の準備だ!袁術の馬鹿にまた思い知らせてやるわー!」


王朗「あの…、心は乱れていないんじゃ…。」


劉繇「うるせーこのボケ!まだいやがったのか!とっとと会稽に帰れ!」


王朗「お、覚えてろー!」


こうしてレミの予見は完璧に外れ、またしても防衛戦をしなければならなくなった劉繇であった。

(続く)