僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

劉繇奮戦記9「やっとメモ1枚分消化したの巻」

195年5月下旬。
4ヶ月にわたる防衛線を乗り切った劉繇たちは
激戦の地阜陵港にて戦後処理に追われていた。


張英「殿!捕らえた武将を連れてまいりました。」


雷薄「ひぃ〜、い、命だけは…。ガクガク。」


陳蘭「はわわ、お父さん、お母さんをぶたないで。悪いのは僕だから!僕をぶって!」


劉繇「………。やっと敵武将を捕らえたのはいいんだけどさ、こいつらを説き伏せて
   何かメリットがあるの?恐怖で幼児期の記憶の扉が開いちゃってる奴いるしよ…。」


周繒「2人とも能力的にはまったくの凡将ですな。」


太史慈「ではそれがしが。」(刀をスラリ)


雷薄「し、しぎー!お助けをー!」


陳蘭「ママ!ママー!どうしてお父さんの写真を切り刻んでいるの!ママー!」


華歆「まあまあ太史慈殿、ここは私の手品でも見て気持ちを落ち着けてくだされ。
   ほうらステッキが花束に!」


太史慈「むむぅ!むむむむぅ!…むう?」


劉繇「(今日はマジシャンなのか…)華歆、やはりこやつらは登用すべきなのか?」


華歆「はい。我が陣営は現在一人でも人材が欲しい状態ですので、たとえ凡将であっても
   登用すべきだと思います。」


劉繇「そうか。じゃあ君達、恨みを忘れてこの劉繇に使えるならば命は助けてやるぞ。」


陳蘭「もうぶたないって約束してくれるなら僕はいい子でいるよパパ。」


劉繇「パパじゃないけどな。じゃあこれからは私のために働いてくれい。
   で、もう一人の方はどうするんだ?」


雷薄「む、そういうことであれば私も…。」


笮融「殿〜!」


劉繇「なんだよ笮融。今忙しいんだよ。」


笮融「袁術より使いの者が来ていますがどうしますか?」


劉繇「使者だと?あの野郎ぬけぬけと!」


華歆「(シリクハットからハトを出しつつ)きっと捕虜の返還要求でしょうな。」


劉繇「自分から攻め込んできておいて捕虜を返せだと!ふざけんな!」


華歆「確かに癪に障りますが、ここは素直に要求を呑んでおいたほうが得策でしょう。
   殿が寛大で徳の高い人物だと世に知らしめる良い機会です。」


劉繇「むう、そうか。ならば仕方がない。人気者になりたいしな。
   笮融、使者を失礼の内容に迎えろ。」


笮融「かしこまりました。」


魯粛「どうもー。使者の魯粛でーす。雷薄を返してちょんまげ。」


劉繇「あー!てめえは!」


魯粛「え?どこかでお会いしました?」


劉繇「お会いしましたじゃねーだろ!俺が登用しに行ったときバックレやがったくせに!」


魯粛「はて?とんと記憶にございませんな。つまらないことは忘れるようにしているので。」


劉繇「てめーふざけやがって!殺す!」


華歆「ワンツーはいっ!」(劉繇が空中に浮く)
  「さあ魯粛殿、今のうちに雷薄殿を連れて帰られよ。」 


魯粛「かたじけない。それではバイバイキーン。」


劉繇「待てコラァ!華歆降ろせー!」


こうして、雷薄は開放したものの陳蘭の登用には成功し、
笮融・陳横を阜陵港残し(負傷兵の訓練と探索要員)劉繇達は秣陵に帰還した。


6月上旬。


太史慈「殿!紀庶の教育が完了いたしました!」


劉繇「おう、ロボ2号が完成したか。スペックはどんな感じだ?」


太史慈「統率70武力94知力75政治54で、飛射・斉射・連射・連弩が使えます。
    さらに突破と突進も自在にこなしますぞ。」


劉繇「おお!さすがロボ!」


周繒「武力は太史慈殿以上ですな。」


劉繇「よし紀庶よ!そなたに威北将軍の爵位を授ける!
   我が陣営の飛車角として太史慈と共に尽力いたせ!」


紀庶「ありがたき幸せ!命を賭して働かせていただきます。」


周繒「あの、威北将軍は現在笮融殿が就いているんですが。」


劉繇「あ?ああアイツは降格。黙ってりゃわかんないよどうせ。」


周繒「そっすね。」


華歆「紀庶殿の武力が高いことは予想していましたが、知力も思ったより高いので
   内政面でも巡察に協力していただきましょう。陳蘭殿もいることだし
   訓練・徴兵は張英殿と陳蘭殿にお任せして、
   太史慈殿にも巡察に同行していただきましょう。」


周繒「これで巡察は華歆殿と私を合わせて4人で行えますな。」


劉繇「よし!内政も少しずつだが希望が見えてきたぞ!で、軍師。私は何をすればいい?」


華歆・周繒「もちろん探索です。」


劉繇「やっぱりかよチクショウ!」


こうしてまた探索と巡察の日々が続くこととなり、
つかの間の平和を楽しむ秣陵であったが、
中国全体では戦火が絶えることはなく、毎週のように各地の動向が報告されてきた。


張英「殿!漢中の張魯馬騰の手によって滅ぼされました!」


陳蘭「長安の李カクも馬騰にやられたようです!馬騰が帝を擁立しました!」


周繒「袁術が小沛であっちゃこっちゃと戦をしていた劉備を潰しました。」


劉繇「うーん。世の中は激変しているな。」


華歆「西涼馬騰が勢力を伸ばしていますな。袁紹も順調に領地を広げています。
   逆に呂布曹操は苦戦を強いられているようです。」


劉繇「私も早く中原に進出したいものだな。」


華歆「今しばらくは我慢です。」


周繒「ろくに兵法も使えないくせに進出だって。プ。」


劉繇「なんか言ったかコラ。」


周繒「いえいえいえ。斉射ぐらい早く覚えろなんて言ってません。」


劉繇「このガキー。こないだちょっと活躍したからって…!」


陳蘭「殿ー!」


劉繇「なんだ、うちに来てから今だ大した手柄もない陳蘭君じゃないか。」


陳蘭「その手柄を持ってまいりました!これをご覧ください!」


劉繇「なんだよその汚い紙は。河川敷でエロ本でも拾ってきたのか?
   その気持ちは嬉しいけど俺エロ本ぐらいならもう…オオ!これは!」


陳蘭「孫臏兵法書でございます!」


華歆「おお、これがあの幻の!」


周繒「これを読めば「連射」が使えるらしいですね。」


劉繇「マジで?よっしゃ!これで俺も弓系の兵法ゲットだぜ!」


周繒「部下に授ける気ゼロかよ!ダメ君主!」



そんなこんなで195年も終わろうとしていた。
(続く)