僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

ウスターな男

雨が、降る。この頃になって、若い頃には分からなかった事、理解できなかった事が、すっかり私の生活に、馴染んでしまっていることに、ふいに気付く。梅雨の午後、ひんやりと湿った風が、テラスで珈琲を飲む私を、何か言いたげに吹き抜ける。

でさあ、ウスターソースって美味くない?子供の頃好きじゃなかったんだけどさ、あれ美味くない?うんそういう話よ今日。ウスターソース。シャバシャバで酸味強めってのが私の中でのウスターなんですけど、関西の方がより一般的なのかな?我が実家では常備されていなかったせいもあって、子供の頃はいまいち馴染めなかったんですよね。ハズレソースでしたよ。アイツ。定食屋で醤油と思ってかけたらアイツ。焼き魚台無し。妖怪醤油騙し。とにかく下に見てましたよ。ソースとして完全に見下していました。関西もその一点に関してのみ見下していました。ソースに関してのみ。他の点では全てにおいて憧憬の念を抱いていましたけど。お笑いセンスが全員抜群なとことか、ファッションセンスが全員抜群なとことか。えーと、軽犯罪発生率とか。すごいなって、思ってました。みんな週2ペースで道頓堀に飛び込むんでしょ?さっすがあ~。

そんな私が。そんな性格最高な私が、今じゃ何食べるにしてもウスターソースですよ。何にでもは言い過ぎですけど、揚げ物はマストでウスターとして、目玉焼きからポテトサラダから野菜炒めから、おおよそいけそうなものはウスターで食べてますよ。今日もパトラが作ったカレーを晩飯に食べましたが、途中からウスター投入で味変させました。パトラはジャガイモを溶かし込んだカレーが好きみたいなんですけど、若干味がボンヤリしちゃうんですよねそのせいで。だからウスターを、ってあーはいパトラってのは私のお嫁ちゃんことクレオパトラですよ。「私の鼻がもう少し高かったら、山ピーと付き合えたかもしんないぜオイ聞いてんのかよオイ」でお馴染みの絶世の美女です。チルド室への信仰が大変深い美女です。「大丈夫大丈夫。チルド室に入ってたからその納豆。まだ食べれる。」なんで納豆チルド室に入れてんだよこのクレオパトラッ!

ということで、美味しいウスターソースと素敵なパトラのお陰で僕はとってもシアワセですっていうとってもシャバシャバした話でした。不倫してーなー。