僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

劉繇奮戦記6「シーサイドジェット斉射」

194年8月。
魯粛の登用に失敗した劉繇はその後も人材探索に明け暮れていた。


劉繇「あーあ、今日も人材探索かー。だるいなー。」


周繒「まあそう言わずに這いずり回ってきてくださいよ。」


劉繇「今日は俺と華歆で開墾しとくから、オマエが探索してこいよ。
   農業は国の礎だろ?」


周繒「あ、残念ながらそれはできません。農地を増やしても人口が増えなければ
   何にもなりませんからね。残念ながら不可能です。いや残念。」


劉繇「てめー。最近民どもに顔が売れてきたからっていい気になりやがって。」


周繒「いやー、人気者は辛いなー。一人寂しく物欲しそうな顔して
   森や原っぱをウロウロしている人が羨ましいですよまったく。」


劉繇「いつか民の前で恥をかかせてやる…絶対に。」


張英「殿!ただいま帰りました!徴兵に調練、ことごとく終了いたしました!」


劉繇「おうオマエラか、ご苦労だったな。」


陳横「いやー疲れた疲れた。」


笮融「太史慈殿が大活躍でしたな。」


太史慈「あの程度の調練は朝飯前でござる!」


劉繇「そうかそうか、じゃあ今日はみんなで俺と探索に行くか?帰りに一杯おごるぞ。」


笮融「マジですか!?」


劉繇「マジマジ。ほら、みんな頑張ってくれたからさ。」


陳横「さすがは劉繇様!」


張英「器がでかい!」


周繒「よっ!大統領!」


劉繇「おまえは巡察だろ。人気者はたいへんだな。」


周繒「いや、やっぱり今日ぐらいは探索に行ってみたいかなーなんて…。」


華歆「周繒はどこじゃーい!お!こんなとこにいやがったかコンチクショーめ!
   さあ今日も巡察に出かけるぞー!イーチ!ニー!サーン!ボンバー!」


周繒「行ってきまーす…。」(華歆に引きずられながら。)


劉繇「ガハハハハハ!」


こうしていちおうの軍備を整えた劉繇陣営は、調練に当てていた人材も探索にまわし、
人材の獲得に精を出すこととなった。


8月中旬。


劉繇「探索隊、今日の成果を報告せよ。」


張英「はっ!探索隊1号張英!何も発見できませんでした!」


笮融「探索隊2号笮融!ドングリしか見つかりませんでした!」


陳横「探索隊3号陳横…。盗賊を退治しようとして返り討ちに合いました…。」


劉繇「心底役に立たないなオマエラ!それで探索隊4号の太史慈はどうした?」


張英「まだ帰ってきていないようですね。」


笮融「また鳥でも追いかけて迷子になってるんじゃないですかね?」


張英「この前は「ケーキだ!ケーキだ!」と叫んでそれっぽい形の雲を
   追いかけて行っちゃいましたからね。」


笮融「夕方頃になって「ケーキがトマトになっちゃった…。」とションボリしながら
   帰ってきましたっけね。」


劉繇「もうロボットっていうよりは、ハムスターをかわいがり過ぎて
   握りつぶしちゃうタイプの、少年の心を持った馬鹿力だな。」


太史慈「ただいま帰ったでござる!今日はメロンパンが汽車ポッポになったでござる!」


劉・張・陳・笮「………。」


周繒「殿ー!一大事ですぞー!」


劉繇「おう周の字、何があったんだ?汽車ポッポがキリンさんになったか?」


周繒「何を言ってるんですか!袁術が阜陵港に向けて軍を差し向けてきたんですよ!
   長江対岸の烏江港から楼船に乗ってやってきます!」


張・陳「ゲェー!ついに来たー!」


笮融「も、もうだめだー!」


劉繇「ババッバババカ!おおおお落ち着けって!とりあえず軍師を呼べ!」


華歆「ハーイ☆僕を呼んだかい?」


劉繇「おお軍師!極めておちゃっぴいな人格なところ申し訳ないが、袁術の奴が
   攻めてきたんじゃ!このピンチをどうにかできる策はないか?」


華歆「ハハハ!僕に任せておけば大丈夫さ☆周繒君、敵軍の規模と、それを率いる
   部将はどんな感じかな?」


周繒「えーと、敵大将は紀霊で、配下に陳蘭・雷薄・劉勳を従え、
   1万5千の軍勢です。」


劉繇「みな袁術の股肱の武将ばかりか!これは手強いかもしれん!」


華歆「ハハ!股肱だからって手強いってわけじゃないよ☆」


劉繇「そうなのか?でもやっぱり新参者よりは信頼されているぶん
   存分に戦うことができたりすんじゃないか?」


華歆「ハハハ!なら劉繇様の股肱の武将は?」


劉繇「なるほど!超納得!勝てそうな気がしてきた!」


周・張・陳・笮「ひでー!」


華歆「じゃあとりあえず、阜陵港を守らせている兵3千を秣陵に引き上げさせようか☆」


陳横「軍師殿!それでは袁術めに港をくれてやるようなものではないですか!」


華歆「ハハハハ!そのとおりくれてやるのさ☆船の上で戦うよりも
   一度港に入らせておいてから対施設用の陣形で攻め込んだ方が確実だよ☆
   阜陵港なら秣陵の守備範囲だし、港を攻めるなら敵の兵法も制限されるし、
   援軍が来るにも時間がかかるからね☆」


劉繇「さすが軍師!これなら何とかなりそうだな!紀霊とやらに目にもの見せてくれる!
   太史慈!いよいよお前の真の力を発揮するときだ!
   軍師を連れて奴等を討ち取ってまいれ!周繒、張英には副将を命じる!」


周繒「あの…、殿は?」


劉繇「わしはしっかりと秣陵を守りつつ、おぬし等の援護をするから大忙しだ!」


周繒「この腰抜け!」


笮融「あ!太史慈殿のボディーが真っ赤になって、耳から水蒸気が!」


陳横「ヤル気マンマンだー!」


太史慈「全員皆殺しにしでござる!」


劉繇「み、味方は殺さないでね…。」


華歆「味方にしたいから敵はなるべく殺さないで捕らえたいね☆
   よしそれじゃあ、連中が港に着くまでに井闌の櫓でも作っていよう☆」


太史慈「軍師殿!質問をしていいよろしいか?」


華歆「何でも聞いてよ☆」


太史慈「井闌て何でござるか?」


華歆「おっと!太史慈ロボはまだ井闌を知らないんだね?誰か知っている人、
   ロボに教えてあげてよ☆」


周繒「いえ…我々も知りませんが…。」


張英「食べ物でござるか?」


笮融「バカ、武器の名前だろ?鉄球にトゲトゲがついたヤツじゃないの?」


劉繇「おお!それは強そうだな!」


華歆「か、勝てるかな…テヘ☆」



こうして、劉繇達にとっての初めての戦がはじまった。
9月下旬、作戦通り袁術配下の紀霊軍は無抵抗で阜陵港を占拠する。



紀霊「ハハハ!奴等この紀霊に恐れをなして逃げ散ったと見える!
   今頃秣陵の城の中でガタガタ震えているであろう!」


劉勳「袁術軍随一の勇将、紀霊殿が攻めてきたとあれば無理もありますまい!」


紀霊「そうかのう?ガハハハハ!」


劉勳「しかし、紀霊殿があの三尖刀を振るう勇姿を見ることができず
   ちと残念ですな!」


紀霊「ならばこのまま秣陵にも攻め込んでしまうか?ガハハハハ!」


陳蘭「紀霊殿ー!て、敵襲でござる!」


雷薄「変なロボが2万以上の兵を率いて雁行の陣を敷いて攻め込んできます!」


紀霊「何!ま、守りを固めろー!」


劉勳「三尖刀の勇姿は?」


紀霊軍が港から打って出る余裕も与えず、
太史慈軍2万5千が港に取り付き矢の雨を降らせる。


太史慈「それ!連射を浴びせろ!」


華歆「紀霊のかーちゃんデーベーソー!」(混乱)


敵兵士「え?紀霊様のかーちゃんはデベソなのか?ザワザワ。」


敵兵士「デベソだってよ。どうする?デベソはまずいっしょ?ザワザワ。」


張英「敵は混乱しているぞ!斉射だ!」


周繒「じゃあ俺たちもついでに斉射ー!」


コンスタントに兵法が発動し、あっという間に紀霊軍はボロボロになった。


陳蘭「紀霊殿!我が軍はもはや壊滅状態です!」


紀霊「こっちは一回も兵法を出してないのに!」


雷薄「こうなったら逃げましょう!逃げちゃいましょう!」


紀霊「しょうがない…。コッソリ逃げ出せー!」


10月中旬、太史慈軍は見事な勝利を収め、阜陵港の奪回に成功し、
さらに5千人近くの降兵も手に入れた。


劉繇「でかしたぞ!見事な用兵ぶりであった!」


張英「華歆殿が敵を混乱させたのが利きましたな。」


華歆「えへ☆みんなで協力したおかげさ☆」


周繒「太史慈殿の連射は強力でしたねー。」


劉繇「で、その太史慈はどうした?」


笮融「殿ー!太史慈殿の戦闘モードを終了させるスイッチはどこですかー!
   パニックになったバカ犬のように港で暴れていますー!」


劉繇「………だ、誰か止めてきて…。」


華・周・張「絶対いや☆」



めでたく初陣に勝利した劉繇。しかし天下統一への戦いはまだ始まったばかりだ!
頑張れ劉繇!負けるな劉繇!長江を赤く染めるのは夕焼けか!それとも戦士の血か!







ちなみにヨコチンこと陳横は、怪我の療養のためにずっと寝ていた。


陳横「誰もお見舞いに来てくれな〜い(泣)」


(続く)