僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

劉繇奮戦記4「スメルズライク556」

194年6月。
日々軍隊の調練に沸く秣陵に帰還した劉繇は、
さっそく家臣達を集合させた。


劉繇「よーし、華歆も加わったことだし、さっそく今後の方策を話し合うぞ。」


笮融「あのー、その華歆さんはどこにいるんですか?」


劉繇「あれ?さっきまでいたんだけどな。華歆さーん?」


張英「もしかして案外シャイな人なんですか?」


劉繇「いやけっこうフランクな人のはず。普段は。」


陳横「トイレじゃないですか?」


劉繇「さっきも行ってたから違うだろ。」


太史慈「逃げたしたのではござらんか?」


劉繇「逃げ………。まさか…。」


周繒「………プッ。」


劉繇「何がおかしいんだよ周繒!笑い事じゃねーぞ!」


周繒「ギャハハハハ!だっせー!速攻で逃げられてやんの!7分で!」


笮融「まさに神速ですな。」


周・笮・陳・張「ぎゃはははははははは!」


劉繇「笑うなー!何か事情があるんだよ!笑うなクソども!」


周繒「世界最小のサルみたいな顔した君主には仕えられないってよ!」


笮融「おやおや周繒殿!それでは我が君主はピグミーマーモセットでござるか?」


周・笮・陳・張「ぶははははははは!」


劉繇太史慈!こいつらの脳天に矢ぁブチ込め!そして三族皆殺しにしてこい!」


太史慈「心得た。」


陳横「うわー!冗談です!冗談ですって殿!」


張英「太史慈殿!私に狙いを定めるのはやめてくだされ!」


劉繇「こら張英!俺の後ろに隠れるんじゃねーよ!」


トス。


劉繇「危ないっっ!!危ないから!タンマタンマ!太史慈ストップ!」


華歆「おや?これは何の騒ぎですか?」


劉繇「あ!華歆殿!探していましたぞ!」


笮融「目にも止まらぬ速さで我が君に愛想をつかして出て行ったんじゃなかったんですか?」


華歆「ハハハまさか。今後のためにちょっと城や街を見て回ってきたんですよ。」


劉繇「さすが華歆殿!その辺に転がってるボンクラどもとは違いますな!」


周繒「で、どうでした?我が陣営の様子は。」


華歆「ある程度予想はしていましたが、厳しい状況にあると言わざるを得ませんな。
   貨幣収入は1500にも満たないですし、農地も荒れております。
   城壁にもガタがきていますし兵の数も絶対的に足りません。
   そして何より、民が劉繇殿に心服しておりません。」


周繒「ズバリ言っちゃったよ!プププー!あんた嫌われてるってよ!」


周・笮・陳・張「ぶひゃひゃひゃひゃ!」


劉繇「黙れ!」


華歆「さらにこれらを改善するために必要不可欠な
   有能な人材が皆無といってよい状況です。」


周・笮・陳・張「シューン。」


劉繇「だしゃしゃしゃしゃしゃ!」


華歆「今のままでは乱世の波に飲み込まれることは必定です。」


劉繇「しゅーん。で、ではどうすればよいとお考えか?」


華歆「は。さらば私の愚見をお聞きください。現在のところ内政的は
   絶望的にも見える現状ですが、幸い外交的にはそれほど危機はありません。
   袁術孫策の軍勢は確かに脅威ですが、連中は後顧に呂布劉備劉表といった
   憂いを持っていますので、安易に長江を渡り秣陵に兵を進めることはできません。
   逆に劉繇様は呉の厳白虎、会稽の王朗とは良好な関係を維持しているので
   背後に気をとられることはないでしょう。つまり、劉繇殿は長江から攻めてくる
   軍勢を、全力で防ぐことができるのです。幸い兵糧の蓄えには余裕があるので
   資金の許す限りの徴兵は十分に可能です。」


劉繇「おお!正に慧眼!眼前の霧が晴れた思いですぞ!」


華歆「ヒック。要するにだ!阜陵港で敵を遮断できるように備えてあれば、
   じっくりと国を育てることができるって寸法だバッキャロー!」


陳横「す、素晴らしいお考えですな!」


張英「この張英も同じ事を考えておりましたが、さすがは華歆殿!」


周繒「聞いてみればなんて事のない策だけど、うまくキャラを変えて
   勢いで納得させるあたり、只者ではありませんな。」


笮融「あっ!太史慈殿の頭から煙が!処理能力の限界だったんだ!」


劉繇「ともかく今後の方針は決まった!今日はめでたい日である!
   新軍師華歆殿を囲んで宴会を開こうぞ!」


張英・陳横「やった!宴会だ!」


周繒「ちょ、ちょっと待ってくださいよ殿!新軍師ってどういうことですか?
   軍師ならもう優秀なのがいるじゃないですか!」


劉繇「バーカ!華歆殿の知力は88!オマエは72、だっけ?その差は歴然だ!」
 

周繒「10日で降格かよ…。短けえ夢だった…。」


陳横「まぁまぁ周繒殿、これからは同じ身分同士がんばろうじゃないですか。」


劉繇「あ、ヨコチン。太史慈を軍事面のリーダーにするから、
   オマエはそのシワ寄せで降格な。」


陳横「ひ、ひどいっっ!!」



かくして方針は決定し、劉繇達は本格的に始動を始めた。
宴会の席は大いに盛り上がり、華歆はその酒豪ぶりを発揮したり、
縄抜け名人の人格を発揮したりしてみんなを楽しませたが、
対乱世用人型ロボ太史慈だけは、酒の席での華歆の「華独座」っぷりをマジマジと見ては、
「起き上がり…こぼし?」と一人神妙な顔つきで呟き、
杯に満たされたクレ556もすすまなかったという。
(続く)