僕がツィッギーだった頃

魚は頭から腐る。靴下は踵から穴開く。

読まないなら死んだ方がいいってラノベを教えてくれろ

友人と飲んだ話。35歳のしみったれたオッサンと36歳のパッとしないオッサンが一緒にお酒を飲みましたよ。臨終間際の老犬とその老犬お気に入りのズタボロ毛布。って感じですビジュアルイメージは。そっとしといてあげて下さい。ただ、2件目に行ったときですね、そう、どうせなら無理してでもキャバクラとか行きゃいいのに、2件目に選んだ先が老夫婦が営む鉄板焼き屋っていう。老夫婦の人柄と大雑把な料金形態だけでのみ持ちこたえているようなきったない鉄板焼き屋。埼玉の西の方なんておおむね住宅街と田畑しかないのにそこだけ無理に雑居ビル化したような局所的にゴミゴミした場所にある鉄板焼き屋。6つある鉄板のうち料理場に一番近い鉄板が新聞だの割りばしのストックだのが置かれているせいで常時使えない、店内のその他の部分もまんべんなく雑然としているせいでそのことがあまり目立たない、そんな鉄板焼き屋。やっぱりあるぜ聞いたこともない演歌の人のポスター。頼んでないのに出てくるぜ餅。餅って。勝手に爺さんが鉄板の上で焼き始めんの。素手で。でガンガン世間話してくるの。会ったこともない近所の飲み屋でバイトしてた女の子の就職活動のあれこれとか話してくれるんだけど、うん、写メはねーのかババァとも言えないしさ、こっちも程よくベロンベロンだし、もはやババアかジジイかの区別も怪しかったし、こっちの「僕の知り合いでこんなやついましたよ」トークに関しては「その人は知らないねー」って、最初から共通の知人なんて一人もいねー前提で話してんだけどよ。ま、別にその店を保健所に通報してどうこうしようって話ではなくてですね、もう深夜12時も過ぎたその店に大学生とおぼしき男子三人組がやってきたんですよ。やってきてその老夫婦と気さくに会話をしながら「適当にご飯食べさせて」的な、通いなれた感じでくつろいでるの。僕が言うのもなんだけどまあパッとしない学生ですよ。アキバ系と括ってしまって問題ないでしょう。でね、その学生が3人で、真夜中の汚い鉄板焼き屋で、ライトノベルについて超熱くトークバトルをしだしたんですよ。オッサン感心しちゃった。ライトノベルなんて正直全然知識無いです。方面によっては小馬鹿する向きがあることも知ってるし僕自身小馬鹿にしている面もあります。ただあそこまで熱く語っているのを目の当たりにすると、ちょっと胸が熱くなりましたね。あの作者は越えずにいた一線をあえて越えた、とかさ。それによって読み手はもう覚悟を決めなければいけないんだ、なんて。ライトノベルではなかったけど、ワシにもそうやって何かについて語り明かした頃があったのう。フガフガ。オッサンにもうちょっと心の余裕があれば「青年達よ、今日はいい話を聞かせてもらった」って、去り際にさりげなく差し出してたと思うよ。餅を。気付かないふりをしていたせいで炭化した餅。ラノベの将来は明るいかもしれんぜ。